2019年は、私たち日本人にとって、とても大切な儀式が行われますね。
天皇陛下(平成天皇)の譲位と皇太子さまの即位に伴う式典です。
4月30日(火)に「退位礼正殿の儀」
10月22日(火)に「即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)」
が、国事行為として開催されることが決まっています。
自分が暮らす人生の中で、体験できるか、できないかという貴重な儀式に触れることができるのです。
しかし、これらの儀式に関してはわからないことだらけ(言葉)ではないでしょうか?
「即位礼正殿の儀」で新天皇(徳仁親王)がお使いになる高御座(たかみくら)について、皆さんはご存知ですか?
関連記事:御即位の儀式【剣璽等承継の儀】とは?~読み方や天皇の宝について知ってる? 祝日にはなるの?
Contents
高御座(たかみくら)の一般公開を検討
時事通信によりますと、杉田和博官房副長官が「即位礼正殿の儀」で新天皇がお使いになる高御座(たかみくら)を、式典後に一般公開することを提案されたそうです。
政府は19日、天皇陛下の退位と皇太子さまの即位に関する式典委員会の初会合の議事録を公表した。
来年10月の「即位礼正殿の儀」で新天皇が使う高御座(たかみくら)について、杉田和博官房副長官が式典後に一般公開することを提案した。
高御座は新天皇が国内外に即位を宣言する玉座で、即位の儀式の象徴。
9月下旬に京都御所から皇居に移送された。
12日の初会合で杉田氏は、高御座について「多くの国民が儀式の一端に触れられるよう、一般参観を行うことが適当だ」と主張した。
杉田氏は「平成の御即位と同様、今回の御即位に際しても各府省が慶祝行事などを行うことが適当だ」とも発言した。
引用元:政府、高御座の一般公開検討=新天皇即位儀式の象徴
「高御座(たかみくら)」という言葉を初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか?
秋篠宮さまの「即位礼正殿の儀」に備え、「高御座(たかみくら)」についてぜひ、知っておきたいですね。
関連記事:皇太子殿下の御即位記念硬貨はいつ発売されるの?申込み方法は?~いち早く情報を得る方法は?
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高御座(たかみくら)とは
難しいものではないのですが。。
皇太子殿下が即位を宣言する舞台となるのが高御座(たかみくら)と呼ばれるもので、自分たちの日常で考えればステージのような役割になるのでしょうか?
即位される陛下は、布で隠された八角形の小さなお堂のような高御座へ後方から登られ、正面の布の幕が開くと陛下が即位したことを宣言するという、天皇位を象徴する玉座でもあります。
*玉座(ぎょくざ)
君主がこしかけるために作られたものや、こしかけるために使われているもの「座具」のこと。
玉座(ぎょくざ)は日本の君主だけに限らず、それぞれの国で昔から君主、神々のシンボルとされてきました。
中国王朝時代、皇帝の玉座は龍の彫刻に彩られ、「世界の中心」である紫禁城の中心に据え付けられたのは有名ですよね。
玉座に座る皇帝に会うには、いくつもの門と通路を通過する必要がありました。
それがさらに皇帝の威厳を誇示するのに役立ったのです。
古代ギリシャ人においては、お祈りを捧げる際、宮殿や寺院に神々のための「空席玉座」を設けていたそうです。
玉座は威厳を誇示するものでもあり、神聖なものでもありました。
新天皇となる皇太子様の高御座とともに、皇太子妃雅子さまがお立ちになるものを「御帳台(みだちょうだい)」と言います。
御帳台は高御座よりも、一回りほど小さいのだそうです。
高御座(たかみくら)はどこにある?
報道の中に「9月下旬に京都御所から皇居に移送された。」という一文に疑問を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
移送とはどういうこと?
高御座(たかみくら)は、皇位継承儀式に用いられるものですが、歴史的にも伝統的な調度品でして、
平城京:平城宮の大極殿
平安京:平安宮(大内裏)の大極殿、豊楽殿から内裏の紫宸殿
に安置され、即位・朝賀・蕃客引見(外国使節に謁見)など大礼の際に天皇が着座されました。
鎌倉時代中期以降から、京都御所紫宸殿(ししんでん・ししいでん)へ移されています。
意外にも、あちらこちらへと移送されていたのですね。
現在の高御座と見御帳台は大正時代に制作されており、平成2年の天皇陛下即位の礼の後、京都御所神殿にて保管されていました。
通常、高御座(たかみくら)は宮内庁でも、皇居でもなく、皇室関連施設である京都御所(きょうとごしょ)にあるのです。
1869年(明治2年)までは天皇が暮らし、儀式や公務が執り行われていましたが、現在は宮内庁京都事務所が管理されています。
天皇陛下の御譲位のご意向がわかった後、平成28年(2016年)には、皇太子さまご一家が視察に行かれたそうです。
皇太子さまのご長女である敬宮愛子内親王(としのみや あいこないしんのう)は、どのようなお気持ちで拝見されたのでしょう?
外装、内装はどのような感じ?
そして移送前の2018年4月17日、京都御所で「高御座」が一般報道陣に公開されました。
麒麟(きりん)や鳳凰(ほうおう)が描かれた黒の台座に、朱色の欄干(らんかん)が巡らされ八角形の天蓋(てんがい)を円柱が支える高御座。
天蓋の頂上と外周に、合わせて9羽の鳳凰(ほうおう)が金色に輝き紫色の帳の中に玉座が据えられています。
現在の玉座には茵(しとね)に代わり、御座(ぎょざ)とか御倚子(ごいし)と呼ばれる椅子が置かれますが、これは大正天皇即位の際に制作されています。
茵(しとね)とは、座ったり、寝たりするときに敷く敷物のことで、その古風な呼び方になります。
正面向かって右側には剣、左側には勾玉(まがたま)を置く机、
また国璽(こくじ)や御璽(ぎょじ)を置く机もあります。
→勾玉(まがたま)、国璽(こくじ)、御璽(ぎょじ)についてはこちらをお読みください。
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では、高御座に描かれている麒麟(きりん)や鳳凰(ほうおう)にはどのような意味が込められているのでしょう?
*麒麟(きりん)
きりんといっても、自分たちが知っている動物園のキリンではなく、中国神話に登場する伝説の霊獣のことです。チーリンとも呼ばれます。
形は鹿に似て大きく背丈は5m。
顔は龍(りゅう)に似ていて、牛の尾と馬の蹄(ひずめ)をもっています。
背毛は五色に彩られ、毛は黄色く、身体には鱗と、見るからに恐ろしい外見ですが、性格はとても穏やかで優しく、虫や植物を踏むことさえ恐れるほど殺生を嫌う生き物です。
礼に関する書物「礼記(らいき)」によると麒麟は、王が「他人に対する親愛の情や優しさ」を持って政治を行うときに現れる神聖な生き物で、いかなる生命をも傷つけず、麒麟から諸獣が生まれたとされています。
見た目は恐ろしそうですけどね・・。
これが麒麟です。
「あれ?見たことある!!」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
そう、東京都中央区の日本橋に麒麟がいるんです。
日本道路の起点となる!!
この麒麟には、日本橋から飛び立つイメージで翼がつけられたそうです。
*鳳凰(ほうおう)
鳳凰(ほうおう)も、中国神話に登場する伝説の霊鳥で、日本だけではなく東アジア全域で装飾やシンボルとして登場しています。
みなさんがご存じなのは「平等院鳳凰堂屋上」「一万円札」に描かれた鳳凰(ほうおう)でしょう。
頭は鶏(にわとり)
頷は燕(つばめ)
頸は蛇(へび)
背は亀(かめ)
尾は魚(さかな)
色は黒・白・赤・青・黄の五色で、高さは六尺程と言いますから2m弱ほどになります。
想像するに、なんとも難し姿、カタチですよね?
これが鳳凰です。
「詩経」「春秋左氏伝」「論語」などでは聖天子の出現を待ってこの世に現れるとされる瑞獣(すいじゅう)の一つです。
瑞獣(ずいじゅう)とは、古代中国で、姿を現すとされる何らかの特異な特徴(良いこと)を持つ動物のことを言い、その中に麒麟も鳳凰も含まれています。
鳳凰は、霊泉(れいせん)だけを飲み、60~120年に一度だけ実を結ぶという竹の実だけを食べ、梧桐(アオギリ)の木にしか止まらないのだそうです。
鳳凰の卵は不老長寿の霊薬だとも言われていました。
瑞獣の中の2つが麒麟と鳳凰。
仁の心を持つ君主が生まれると姿を現す麒麟。
徳の高い王者による平安な治世か、優れた知性を持つ人が生まれると姿を現す鳳凰。
新しい天皇の即位を宣言する高御座に、ふさわしい意味が込められていることがわかりますね。
高御座の大きさは?
高御座の高さは6.5m、重さが8tほどの大きさです。
御帳台はそれよりもひと回り小さいと言います。
移送には、これを約3.000のパーツに解体し、4tトラック8台、段ボール箱約250個に分けて移送します。
平成天皇即位の礼では、過激派からの攻撃が懸念され、自衛隊のヘリコプクターで移送されました。
しかし、今回「徳仁親王」即位礼正殿の儀では、「警備情勢が変化し、妨害を受ける可能性が低下した」ため、民間に委託して陸送で京都から移送されました。
移送方法も、一つではないということですね!!
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京都御所
今でこそ、皇室関連施設として知られていますが、明治2年までは歴代の天皇が住み、儀式や公務が執り行われた場所でもあります。
平安の頃の内裏(天皇の居住場所)は千本通り沿いにありました。だいたいこのあたりですね。
南北朝時代から、内裏(だいり)が火災で焼失した場合などに設けられた臨時の内裏の一つ「土御門東洞院殿(つちみかどひがしのとういんどの)の地」が皇居として定着し、正式な皇居となり明治2年まで存続したのです。
京都御所は、1331年に光厳天皇(こうごんてんのう)が里内裏とされてから、約550年間使われた内裏なのです。
もちろん550年の間、ずっとそのままだったわけではなく、江戸時代だけでも旧殿を取り壊しての建て替えたり、火災によって再建されたりと修復しながら現在に至っています。
なお、現在の京都御所はもともとの土御門東洞院内裏(つちみかどひがしのとういんだいり)ではなく、それを基に拡充され、今の敷地面積が確定しました。
京都御所に現存する主な建物には
・紫宸殿(ししんでん・ししいでん)
・清涼殿(せいりょうでん)
・小御所(こごしょ)
・御学問所(おがくもんじょ)
・御常御殿(おつねごてん)
・迎春(こうしゅん)
・御涼所(おすずみしょ)
・皇后宮御常御殿(こうごうぐう おつねごてん)
・若宮・姫宮御殿(わかみや・ひめみやごてん)
・飛香舎(ひぎょうしゃ)
などがあります。
京都御所は東西約250メートル、南北約450メートルの最も格式高い築地塀で囲まれた広大な広さ。
門だけでも、建礼門((けんれいもん/南面)、朔平門(さくへいもん/北面)建春門(けんしゅんもん/東面)、宜秋門(ぎしゅうもん/西面南)、清所門(せいしょもん/西面中)、皇后門(こうごうもん/西面北)、猿が辻の6箇所が設置されています。
建礼門を通り、承明門を抜けると正面に見える紫宸殿(ししんでん/ししいでん)は、人気撮影スポットとして知られていますね。
広大な敷地の京都御所のいったいどこに、高御座があるのでしょう?
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紫宸殿(ししんでん・ししいでん)
人気の撮影スポットにもなっている紫宸殿(ししんでん・ししいでん)は、歴代の天皇元服や立太子、節会などの儀式が行われた正殿となります。
紫宸殿は、最重要な公的儀式が執り行われ、公的な意味合いの強い建物でした。
通常、高御座はこの中央部に置かれていて、その横には皇后の座である御帳台(みちょうだい)があります。
紫宸殿の北西には、天皇の居住の場となった清涼殿(せいりょうでん)がありますが、天正期(安土桃山時代)に御常御殿が造られてからは天皇の日常生活はそちらに移り、清涼殿(せいりょうでん)もまた、執務と儀式の場として使われたようです。
御常御殿は、紫宸殿とともに御所内で最大の建物となっています。
高御座(たかみくら)はいつでも見ることができる?
2016年7月26日より「京都御所」が、一般公開されるようになりましたので京都での拝観は可能ですが、屋外からの拝観なので遠目に小さく観れるといった感じです。
しかし、紫宸殿はもちろん、清涼殿、小御所、御学問所、御常御殿など平安時代以降の建築様式の移りかわりを肌で感じることができるので「即位礼正殿の儀」以前に拝観されることは、とてもおすすめできますよ。
拝観できる施設
御車寄・諸大夫の間・新御車寄・回廊・春興殿・紫宸殿・南庭・清涼殿・小御所・御学問所・蹴鞠の庭・御常御殿・御内庭・御三間・迎春・御涼所・聴雪・御花御殿・皇居宮常御殿・若宮御殿・姫宮御殿・飛香舎・参内殿・参観者休所
ただし「京都御所」拝観には申し込みが必要ですのでご注意ください。
京都御所へのアクセス
所在地:〒602-0881 京都府京都市上京区京都御苑3
問い合わせ:075-211-1215
*地下鉄烏丸線 今出川駅から徒歩5分
*市バス 烏丸今出川から徒歩5分
地下鉄駅、バス停から、ともに徒歩5分で行けるため、公共機関でのアクセスが便利だと思います。
京都御所拝観の場合は、以下の2点にくれぐれもご注意くださいね。
・御所内拝観の申し込みが必要
・京都御苑はいつでも入れる
(京都御苑(きょうとぎょえん)は京都府京都市上京区にある国民公園で、京都御所の周囲の地区を指しています。)
京都御苑内、九條池と旧九條家茶室拾翠亭。どこからか風に乗って雅楽のしらべが。 #京都 pic.twitter.com/4BgDq0IZAN
— 粟津サヤカ (@off_hours4tw) 2018年10月19日
この話はあくまで伝承なのだが、平清盛、足利将軍、徳川家康と時の権力者が関わったという逸話でありさすが帝の側にあった九条の鳥居である。なお唐破風鳥居の厳島神社は京都御苑内の九条池の畔に建っていて、鳥居の前からは美しい庭園と池を見る事ができる故、ぜひ参拝して古の鳥居と共に愛でるべし。 pic.twitter.com/89Kfcec4OU
— 幣束 (@goshuinchou) 2018年10月18日
「即位礼正殿の儀」で新天皇がお使いになる高御座(たかみくら)について、
また、高御座(たかみくら)の所在場所や移動について、おわかりいただけたでしょうか?
平成2年「即位の礼」から28年が過ぎ天蓋、台座、欄干、天蓋を支える支柱は色あせているように見えましたが、漆を塗り替えるなどして修復されます。
その修復費用に約5億円かかるということ。Σ(・□・;)
伝統を守るのも大変なことですが、天皇陛下即位の神聖で喜ばしい儀式です。
立派になった高御座、御帳台を拝観できることは楽しみでもありますね。
杉田和博官房副長官は、私たち一般人も国の儀式に触れられるよう、この高御座(たかみくら)を一般参観できるようにという願いを持っていらっしゃるということなのです。
京都御所での高御座(たかみくら)、東京「即位礼正殿の儀」式典後での高御座(たかみくら)を拝観できたら、これからの自分の人生が強運なものになりそうな気がしますよね。
新天皇即位を、たくさんの日本国民で祝えることを願います!!
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【高御座(たかみくら)】は新天皇即位儀式の象徴~高御座とは?どこにあるの?~京都御所についてを最後までお読みいただき、ありがとうございました。